髪を梳かないでくださいはNG!髪を軽くする毛量調整はヘアデザインに悪影響
2023年11月11日
このタイトル・・
少々意味不明かもしれませんが
髪の量が多いから軽くしといて。
その一方で髪を絶対に梳かないでください。
この対極の考えが存在する理由が
髪の量の多さに起因してます。
そもそもカットって切り口に種類があります。
ブラントカット、鋏を横にして真っすぐカットする技術。
これがカットの基本ですね。
本当の昔はこれでスタイルを作っていました。
この切り口は真っすぐですから髪は動かず落ちる位置で留まろうとします。
この真っすぐのカットの代表がワンレングスというスタイルです。
見え方として全部真っすぐに同じ長さに見えます。
けど頭は丸いですよね?
なので長さは同じに見えるけど実は違うんです。
トップの髪は長いけど襟足は短い。
ということはイングラデーションになります。
このイングラにすると内に入りやすい。
そこにブラントカットで合わせると
めちゃくちゃまとまりの良いスタイルになります。
これがスタイルの基本形で
ここにグラデーション、レイヤー
前上がり、前下がり
縦と横の長さでスタイルが変わってきます。
ここで先ほどのワンレンのことになりますが
髪の多い人と少ない人とでは
ボリューム感に差が出てきます。
梳かないでください!という方の大半は髪が少ない方です。
なるべく毛先に厚みを出して
ボリューム感を残したいのです。
量の多い方は軽くしてください。
髪が乾きにくいこととヘルメットみたく
なってしまうからです。
この二つどちらも正解に見えるけど
実は不正解なんです。
そもそも梳くとは何?
梳くのにネガティブイメージをお持ちの方の多くが
梳きばさみによるセニングシザーで軽くする技法。
これが梳く=毛量調整
髪が少ない方に毛量調整するとどうなるか。
お分かりだと思いますがより髪は少なくなります。
では髪の多い方だと毛量調整はベストだと感じると
思いますが実は違うんですよ!
確かに軽くすると厚みは減らせますよ。
触った時の感じ、厚みも全然違います。
ですがシルエットで見ると
何にも形に影響はしないんです。
梳いても多く見えるのは変わらないのです。
そもそも根元の髪は基本梳かないので
毛量を軽くしすぎると
根元100%の厚みとして
ガンガン梳くと
30%の毛先の厚みとします。
じゃあ残りの70%はどこに行ったか?
短くなりますよね?
この子達が暴れて広がりやすくなる原因になり
軽くはなったけどまとまりづらく
膨張しやすいスタイルとなってします。
要は毛量調整=厚みを減らすこと
もちらんセニングでも上手な美容師さんは
おられますが基本的には軽くする=厚みを取る
わたしとしては
シルエットに影響する質感調整をメインとしています。
質感調整とはドライカットで行います。
チョップカット
スライドカット
ストロークカット
エフェクトカット
それぞれに使う意図は異なるのですが
基本のラインをブランド(真っすぐ)カット。
それをぼかす意図で使う場合
もしくはボリュームを出したい
抑えたい。毛流れを作る。こういった場合にも用います。
この中で特に大切なのが
毛流れを作るということ。
まず髪の原則があります。
髪って短いとこから長い方に向かって流れる。
前上がりのレイヤー。
サイドレイヤーとも言うけど
この場合前に持ってきて
内巻きに入るイメージないですか?
実は全くの逆でフェイスラインが短くて
後ろに行くほどに長くなるので
この場合髪の毛流れは後ろに流れます。
ブローとか熱の力で内巻きにしているのですが
この時に質感調整としてスライドカットで
毛流れを内に持っていくことも可能でして
これを応用してくせ毛の補正をある程度行えたり
自然なハネ感
髪の動きを表現できるのです。
なのでよほど髪が少ない場合を除いては
この質感調整の意味での
髪の梳きはヘアスタイルを作る上で
最重要ポイントとなります。
文字だけでは分かりにくいので
実際にヘアスタイルとしてご覧ください。
ミニボブや切りっぱなしボブはスライドカットが重要
切りっぱなし系のボブ。
ゲストの場合、髪が多い、くせが強い。
こんな場合は髪質改善ストレートでくせを取ること。
先ほどカットで方向性が変わると言ったけど
こういったうねりが強い場合は難しい。
というかミニボブのような面を出すスタイルは
ストレートヘアが前提である。
くせ毛で同じような形状にカットしても
同じ髪型にはならない。
髪が少なければブラントで真っすぐ切ってもいい感じになります。
ですが髪が多い場合は
スライドとチョップを多用して
髪の方向性とぶつ切り感を潰す必要性があります。
ブローせずとも内に入るようになります。
これブラントで切り落とした状態だと
少し外に向かってハネようとします。
髪って不思議でしょう。
チョップカット、スライドカットの
入れる深さや位置がポイント。
剛毛には前上がりレイヤーとスライドカットでくせ毛を活かす
このゲストは髪のうねりも捻転でひどく
広がってどうしようもない髪。
でも冒頭の梳かないでパターン。
軽くなれば広がってしまう。
過去にそうなってしまい大変だったようだ。
それはセニングで毛量調整をしてしまって
厚みのみ削ったため広がっている。
くせ毛だとスタイルが異なって見えるでしょうが
先ほどのボブの方と今回の方だと
同じワンレングスラインで
平行に引き出すと全部同じ長さです。
にもかかわらずこれほど髪は動いてしまう。
くせ毛を抑えようとして重くして失敗するパターンです。
この場合トップにハイレイヤーを入れて
髪の重なりのズレ幅を大きくします。
そうすると髪は軽やかに動き出す。
その上でスライドでぶつ切り感をなくし
くせ毛のうねる位置を見極めたうえ方向性を付けていきます。
今どきのレイヤーは全部に入れないことも大切。
Aラインレイヤーと言ったところです。
髪を動かした方がくせ毛が活きるのですよ。
切りっぱなしワンレンボブからショットレイヤーボブに質感調整カット
このゲストのオーダーは切りっぱなしミニボブ!
髪質は軟毛なのでブランドラインにチョップで
少し削るくらいで非常に扱いやすい髪になる。
そのラインで最終的に私はスタイルチェンジをしました。
似合っていないと感じたからです。
いつもしているスタイルなのにしっくりこない。
失礼ながらゲストは少し全体的に丸さを増した。
この数カ月の間にです。
お顔丸さと、ミニボブの丸さが相まって
とても顔が大きくみえたのだ(失礼^^:)
これはどこかにエッジを効かせなければ
私が満足しない!
急遽レイヤーボブに変更させていただいた。
レイヤーボブの良いところはメリハリが出て
小顔効果が生まれることです。
レイヤーの場合の質感調整は本当に大切で
特に襟元の量感をしっかり取りつつ
スライドを深めに入れて
鋭角なラインにしないと
くびれ感が表現されません。
後頭部周辺は髪が最も太く
レイヤーだけ入れても
一昔前の段カットになってします。
かなりギザギザ感を意識して
やりすぎくらいでちょうど良くなります。
質感調整としての梳き、軽さが
いかに重要かお分かりいただけましたでしょうか?
手ぐしで動かしたときに
しっかりと質感カットを入れた髪って
良い感じの毛流れと束感が生まれて
スタイルが立体的に見えるんです。
梳くことに抵抗ある方も多いでしょうけど
セニングシザーと質感ドライカットは
全く別物だということも覚えておいてくださいね。